「土地売却のために建物の解体を検討中だけど、解体費用っていくらになるの?」
こんな悩みはありませんか?
解体費用は高額なイメージなので、いくらかわからないと解体すべきか決められない方は多いと思います。
土地売却の解体費用は建物の構造と面積によって異なり、おおまかな相場は次のようになります。
▼ 木造、鉄骨造、RC造の解体費用相場
構造 | 木造 | 鉄構造 | RC構造 |
---|---|---|---|
坪単価 | 3~5万円 | 4~6万円 | 4~7万円 |
30坪の建物 | 90~150万円 | 120~180万円 | 120~210万円 |
50坪の建物 | 150~250万円 | 200~300万円 | 200~350万円 |
坪単価で表すと上記の通りですが、一般的に坪数が小さければ小さい程坪単価は高くなり、逆に坪数が大きければ大きいほど坪単価は安くなる傾向にあります。
さて、
ここでは、土地を売却するために築年後数十年経っている古い家を解体すべきか悩んでいる方に向けて、「解体費用の相場」と「解体すべきかどうかを決める基準」について解説しましたので、大いに参考になさってください。
土地売却の際に、解体費用はいくらかかるのか?
建物解体にかかる費用というのは、
- 解体工事費用
- 付帯工事費用 に分解することができます。
「解体工事費用」とは、建物自体を取り壊すための費用で、解体する建物の坪単価に建物全体の面積をかけ合わせて算出することができます。一方、「付帯工事費用」は、残置物を処分・撤去する費用のことを言います。残置物とは、建物敷地内のブロック塀や樹木、室内における家具や家電品などです。
戸建の解体工事費用相場は約200万円程度
全国の平均的な戸建てにおける解体工事費用の相場は約200万円程度だという報告があります。
▽参考までに、戸建(38坪)の解体費用
・木造:117~247万円
・鉄骨造:129~266万円
・鉄筋コンクリート造:133~304万円
改めてお伝えすると、解体工事費用は坪単価に建物の敷地面積(坪数)をかけ合わせです。
また、坪単価は構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造)によって異なります。
▼木造の場合
坪数 | 木造 |
20坪 | 62万〜130万円 |
30坪 | 93万~195万円 |
40坪 | 124万~260万円 |
▼鉄骨造の場合
坪数 | 鉄骨造 |
20坪 | 68万~140万円 |
30坪 | 102万~210万円 |
40坪 | 136万~280万円 |
▼鉄筋コンクリートの場合
坪数 | 鉄筋コンクリート造 |
20坪 | 70万~160万円 |
30坪 | 105万~240万円 |
40坪 | 140万〜320万円 |
付帯工事費用は、敷地内における付帯物の多さによって左右されるもの
結局、ケースバイケースということになるのですが、最低10万円で場合によっては100万円以上になることもあります。
大雑把な内訳でもありますが、以下の表をご参考までに示します。
種類 | 平均単価 | 平均物量 | 平均相場 |
---|---|---|---|
残置物の処分 | 8,000円~1万円/㎥ | 約4t~20t | 15万~25万程度 |
樹木撤去 | 1万円~5万円/樹木1本 | 約3本~4本 | 15万~20万程度 |
ブロック撤去 | 2,000円~3,000円/㎡ | 約200~300㎡ | 40万~90万程度 |
門扉・フェンスの撤去 | 2万円前後 | 約1件 | 2万程度 |
倉庫・物置の撤去 | 2万円~3万円/個 | 約1個 | 2万~3万程度 |
庭石の撤去 | 1万円/庭石1t | 約10t~20t | 10万~20万程度 |
井戸や池の埋め戻し工事 | 3万円~5万円 | 約1件 | 3万~5万程度 |
※残置物とは、建物に住んでいた住人が残した不用品(家具や家電製品、布団や衣類、本や雑誌等のすべて)を指します。
さらに、費用相場は、建物の「構造」「坪数」「老朽化の度合い」「立地」によって異なります。
解体をすることで、で土地の売却費用はどれくらい変わるのか
土地の売却を前提とした場合、解体する場合と解体しない場合で、売却全体にかかる費用総額はどのように変わるのでしょうか?

以下の物件を例に確認してみましょう。
– 売却価格:3,000万円
– 建物構造:木造
– 建物坪数:60坪
– 築年数:20年
まず、土地売却自体にかかる費用を計算します。
土地売却自体にかかる費用を各明細ごとにまとめると、
– 仲介手数料:103万円
– 印紙税:6万円
– 抵当権抹消費用(司法書士に依頼): 5万円
– 住宅ローン返済手数料:3万円
– ハウスクリーニング費用:10万円
– 測量費用:80万円
– 譲渡所得税:90万円(譲渡所得600万で計算)
– 住民税:30万円(譲渡所得600万で計算)
土地売却にかかる合計費用は、しめて327万円です。
次に、解体費用を計算します。
坪単価が6万円の場合、60坪×6万円/坪=360万円
つまり、約360万円の解体費用がかかります。
土地売却において解体する場合と解体しない場合で費用を比較すると、解体する場合は解体費用分(約360万円)多くかかるということになります。
ということは、
建物解体をする場合、つまり更地にする場合は、
・土地売却の費用:327万円
・解体費用:360万円
土地売却全体の費用:687万円
だけど、建物を残す場合は、
・土地売却の費用:327万円
・解体費用:なし
土地売却全体の費用:327万円 ということです。
当然ではありますが、解体する場合は土地売却にかかる費用負担が大きく増えることがわかります。
では、土地売却をするには建物解体をしたほうがよいケースというのは?
先に解体費用の相場と、解体によって土地売却費用の総額がいくら異なってくるかについて解説してきました。
しかし、土地を売却する際、解体費用が安価であるかどうかだけで解体をしないという選択をすることは、ここで声を大に「それは、間違いだ」とお伝えしたいのです。
つまり、状況によっては解体したほうが条件よく売れる場合が、決して少なくないからです。
土地売却したい、こんな場合は、建物解体を進めましょう

- 建物に経済的価値がない
- とにかく早く売却したい
- 買い主とのトラブルを避けたい
建物に経済的価値がない
老朽化がひどく建物自体に経済的価値が存在しない「古家付き土地」の場合、解体しないと売却することができない可能性があります。
「古家付き土地」とは、居住や賃貸などの経済的価値がない物件のことで、買い手が土地購入後に解体することを前提に値付けされるため、土地価格から解体費用が差し引かれた額で売却されることが一般的。が、ほとんどの買い手はわざわざ業者を探して解体することを嫌がります。
とにかく早く売却したい
早く土地を売却したい人は、解体してから売却することをぜひ検討ください。
更地は古家付き土地と比較して、以下の点で買い主にとってメリットがあるため、買い取り手が見つかりやすく短期間で売却することができるものと考えられます。
- 土地の状態を確認できるので安心して購入できる
- すぐに新築を建てることができるので解体工事の手間がかからない
少し解説を加えますと、新築家屋を建てるには土地が硬い必要です。土地が緩くなっている場合、30万~50万ほどかけて地盤改良をしなくてはなりません。その点で、古家付き土地の場合、地盤が固まっている可能性が高く、更地にすることでその土地の状態が確認しやすくなるのです。購入後の出費を抑えたい買い取り手にとって、土地の状態を購入時に確認できることは大きな判断材料になるわけです
買い主とのトラブルを避けたい
売却後に買い取り手とのトラブルを避けたい場合は、更地として売却することでその懸念が取り除かれます。
古家付き土地で売却する場合、買取り手に対して「契約不適合責任」を負わなくてはいけません。契約不適合責任とは、物件について契約書内に記載されていない欠陥がみつかった場合、その欠陥に対して保証する責任を売り手が負わなくてはいけません。
例えば、建物で雨漏りやシロアリ被害が見つかったときも、あるいは、土地で地盤沈下や埋没物が存在することが売却後に判明した場合でも、売り手がその修繕費用を負担しなければならないということです。
が、更地として売却する場合は、建物は解体され、土地は売却前に地盤調査を行なうことができるため、こうしたトラブルは未然に防ぐことができます。
いかがでしょうか?
建物解体のプロフェッショナルである、光和ならどんなケースでも解決できます。
売却をお考えの土地、建物解体もお考えなら、まずはぜひお問い合わせください。
土地売却。建物解体をしちゃダメなのはこんなケース
では、ここで改めて、解体すべきでない場合を確認しておきましょう。
以下の条件に該当する場合、解体しないで売却するほうがよいとお考えください。
- 再建築不可物件である
- 費用総額が売却価格を上回る
- 建物自体に価値がある
各詳細を順に見ていきましょう。
再建築不可物件である
再建築不可物件とは、「国や自治体によって新築が禁じられている土地」に建てられている建物のことです。
こうした建物は一度取り壊してしまうと二度と建物が建てられなくなってしまうので、土地の用途が限定されてしまい売り手がつきづらくなります。
費用総額が売却価格を上回る
土地売却全体にかかる費用が売却価格を上回る場合は解体すべきではありません。
解体によって土地売却費用が増加する要因として、
1.解体費用と
2.固定資産税・都市計画税
があげられます。
まず、解体費用は前述した通り、解体することで発生する費用になります。
敷地内に重機が入らない場合、あるいは隣接住戸と近接しているため重機が使えない場合は、手で壊す作業が多くなるため、どうしても高額になります。種々の原因で、解体費用が高額になる場合がありますから、十分に検討ください。
次に、固定資産税について。これは、更地にすることで3倍~6倍ほど増加します。つまり、売却期間が長くなるほど固定資産税がかかり、売却費用は高額になっていくということです。
建物自体に価値がある
建物自体に高い価値がある場合は解体しないほうがよいでしょう。
例えば、
– 築25年未満の建物である場合
– 古民家としての価値がある場合
特に、品の良い古民家は近年ますます人気も出ています。古民家カフェとか古民家ホテルとか、評判を呼ぶ施設も全国的に増えています。
土地売却で解体費用を節約するには
古家付き土地を売却する場合、更地にすべき?そのまま売った方がよい?
最後に、土地売却で解体費用を進める場合の節約術を確認してください。
不用品は自分で処分しておく
解体費用の内訳には、解体の際に発生したコンクリートや木材などの廃棄物処理費が含まれます。これらの処理費用は、一般的な家庭ゴミの処分費用よりも高く設定されていますから、廃棄物が多いほど解体費用が高くなりますよ。
解体費用をできるだけ安く抑えるためには、家庭ゴミや不用品などは、できる限り解体業者に任せず自分で処分して、不用品の量を少なくしておきましょう。
解体業者の閑散期を狙う
12〜3月は、固定資産税の節税対策や年度末の区切りとして、建物や事務所の解体依頼が多くなる傾向があります。そのため、解体費を安く抑えたいのであれば、4〜6月の閑散期を狙って依頼することも実は見逃せないポイントです。
自治体の補助金が利用できるか調べる
解体費に対して、補助金を用意している自治体も複数あります。
例えば、名古屋市では、
工事費用の2分の1(60万円まで)の費用補助があります。
名古屋市の補助金案内
岐阜市の補助金案内
四日市市の補助金案内
自治体によっては20万~50万の補助金が得られることがありますので、お住いの補助金制度を確認ください。
複数の解体業者に見積もりを依頼するのがよいのかどうか
解体費用の見積もりは解体業者によって異なります。そのこと自体に異論はありませんが、長年建物解体の実績のある立場からお伝えすると、正しい見積もりを出す業者がいかに少ないか、ということだと思います。
安心と安全は、建物解体でもやはりとても大事です。
業者によっては解体費用を200万円以上抑えることがあるかもしれませんが、その見積もりの正確さに目を配っていただきたいと思います。
光和に、お任せください。
最後の最後は、節税の話です
土地売却で解体費用がかかる場合の節税方法を最後にお伝えします。
解体後に土地を売却する場合、
1.譲渡所得税と
2.固定資産税
に注意する必要があります。
解体費用で譲渡所得税を節税する
土地売却で譲渡所得が発生した場合、譲渡所得税を支払う必要がありますが、解体費用によって節税することが可能だということを覚えておいてください。
譲渡所得税とは、
譲渡価格から譲渡費用や取得費(土地の購入額)を差し引いた譲渡所得に課税される税金のことで、以下のように計算することができます。
譲渡所得税 = (譲渡価格 ー 譲渡費用 ー 取得費)× 税率
土地の解体費用は、譲渡費用(土地や建物を売るために直接かかった費用)に含まれるため、解体費用によって譲渡費用が大きくなれば課税対象となる譲渡所得が小さくなり、譲渡所得税を抑えることができるのです。
確定申告時に、解体費用を譲渡費用として忘れずに申告し、譲渡所得税を節税しましょう。
マイホームを解体するなら3,000万円特例控除の適用規制を守ること
マイホームを解体して売却する場合、3,000万円特例控除を利用するにはいくつかの規制を守る必要が出てきます。
3,000万円特例控除とは、
「譲渡所得が発生する場合、3,000万円までなら税額を控除できる」という特例です。
課税対象から3,000万円も控除できる=適用するとほとんどのケースで譲渡所得税をゼロにできることから、税金免除のためには積極的に活用したい制度になります。
以下の要件を満たせば、3,000万円控除を適用できます
- 建物解体から1年以内に売買契約を締結すること
- 売却するまでに賃貸していないこと
- 住まなくなってから3年後の年の12月31日までに売却すること
※条件に関する詳細は国税庁HPから確認できます。
更地にしてすぐに売却するのであれば問題はありませんが、期間が開くのであれば売却期限を超えないように、また売却期間内に更地で事業活動を行わないように注意しなければいけません。
固定資産税と都市計画税を増やさないタイミングで取り壊すこと
住宅の場合、固定資産税と都市計画税を増額させないタイミングで解体することが必要です。
なぜなら、更地の場合、住宅付き土地と比較して固定資産税は3倍~6倍、都市計画税は1.5倍~3倍多くなるからです。
住宅付き土地は「住宅用地の特例」が適用されるため、固定資産税は本来支払うべき額から1/6倍~1/3倍、都市計画税は1/3倍~2/3倍ほど控除できます。
※「住宅用地の特例」・・・住宅一戸分に対し固定資産税と都市計画税で受けられる減税措置です。200㎡までの小規模住宅地に対して、固定資産税は課税標準の1/6に軽減、都市計画税は1/3に軽減されます。住宅用地が200㎡を超える場合は、200㎡を超えた分に対して固定資産税が課税標準の1/3に軽減、都市計画税は2/3に軽減されます。
しかし、更地にすると特例の対象外になるため各税金を満額支払うことになってしまいます。
ただし、特例対象であるかどうかは毎年1月1日の状態で判断されますので、1月1日を過ぎたタイミングで取り壊して、1年以内に売却すれば、税金が安いまま売却することができます。
住宅を取り壊して売却する場合は、固定資産税と都市計画税を増額させないために1月1日を過ぎたタイミングで取り壊して売るようにしましょう。